起業時の法人銀行口座開設のハードルと事前準備

2020年 09月03日

年々高くなる法人銀行口座開設のハードル

 警察庁の発表では、令和元年の特殊詐欺の認知件数は16,851件(-993件、-5.6%)、被害額は315.8億円(-67.0億円、-17.5%)で、前年に引き続き認知件数、被害額ともに減少しているが、依然として高い水準の被害が発生していることから、深刻な情勢です。こうした特殊詐欺に実体のない法人銀行口座が使われることが多いことから、銀行での法人口座開設のハードル(=準備すべき書類、事業実態の実在性など)は年々高くなっています。

起業時に法人口座開設で躓かないために

 口座開設ができなければ、顧客や取引先から「銀行から認められていない存在」との烙印が押され、事業は立ち行きません。
 法人の設立(=会社を作ること)も暴力団対策法等で株式会社の定款認証が厳しくなってきていますが、さらに会社と事業の実在性を示さなければならないのが口座開設時です。銀行により審査基準は違いますが、次のような準備をしておくことで法人口座開設を乗り切ることができます。
(1)資本金はある程度必要
 資本金は1円から会社設立ができますが少な過ぎると事業実態がないとみなされます。事業遂行可能な金額が必要です。
(2)事業実態のある場所が必要
 繁華街の住所表示目的でバーチャルオフィスを本店にすると、実在性なしとされる可能性が高くなります。銀行から訪問調査されても対応できる場所が求められます。
(3)事業実態説明の事業計画書を準備
 事業実態の実在性を示すために、締結済みの顧客との売買契約書(=複数が望ましい)などを示すことができればベターです。まだそうした証拠を示すことができない場合には、少なくとも、銀行に実現可能性を納得してもらえるだけの事業計画書を準備しておきましょう。

法人の所有者が外国法人の場合

 法人の株主が非居住者(=外国法人・国外在住者)の場合には、提出書類が増えます。親会社の上にさらに親会社がある場合などには、実質的支配者の本人確認資料(=パスポートの写し、公的機関発行の会社登記・居住者証明書など)も必要となります。
 なお、2016年10月に政府が対日直接投資推進目的に金融庁経由で3メガバンクに態勢整備を要請し窓口はできていますが、審査体制(必要書類)に優遇はありません。

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