資本政策!必要性と策定時期を解説

2017年 12月11日

資本政策は、株主構成のバランスを取りながら、会社が事業を遂行していく上で必要な資金を調達するための重要な施策です。

ベンチャーキャピタルなどの外部投資家から資金調達を実施すると、手元資金が増える反面、
既存株主の持分比率が減り、将来株式を売却した際に既存株主が得られるキャピタルゲインや、株主総会決議に影響が出る可能性があります。
創業者・経営陣などで構成する安定株主の比率を維持しつつ効率的な資金調達を行えるかが、この資本政策での重要な課題になります。

事業計画と必要資金計画の策定

多くのベンチャー企業は、今後どの分野で勝負し、会社を成長させていくかというビジョンを持っているかと思います。
会社を成長させるためには、様々な投資が必要となりお金がかかります。特に昨今はビジネスの循環が非常に早く、自己資金のみでは資金不足で競争についていけず、創業初期からベンチャーキャピタルなどから資金調達をするケースが増えています。

ベンチャーキャピタルから資金調達をする際、「いつ、いくらの資金を、いくらの株価」で実施するかが重要であり、これらを決めるに当たり、合理的な事業計画と資金計画の策定が必要になります。

事業計画は、今後3~5年の売上・利益計画を作成することが望ましく、商品・サービス毎の販売計画や、人員計画、その他必要経費等を算出します。その事業計画に基づき、運転資金や設備投資資金などの必要資金を算出し、計画通り事業を遂行する上で、「いつ、いくらの資金を」必要とするかを把握することができます。

株価は調達時点での利益水準や計画の実現性が大きく反映されるため、創業初期は多くの場合、高い株価は望めず、既存株主の持分比率の減少に繋がってしまいます。
そのため、創業初期は小さい金額を調達して、計画通り事業を推進し、株価が上がる度に資金を調達していった方が、安定株主の持分比率の維持には有効です。

株式移動は株価が低いタイミングで

株主構成の調整をする上で、創業者・経営陣間や、創業者の同族関係者への株式移動を行う場合、株価が低い時期に行った方が有効です。
株価が高くなると、買い手側の負担も増える上、売り手側も売却益に応じた税金を支払うことになり、同族間での株式移動の場合、同族内の現預金が減ることになります。
株価より低い価額で取得することも可能ですが、その場合、株価と取得価額の差額が贈与税の対象になります。

最後に

資本政策は、一度実行してしまうと、株主の既得権等によって修正が難しくなることがあります。
よって、上場準備の初期段階(ベンチャーキャピタルからの出資を受ける前くらい)から綿密な検討をする必要があります。
また、株式を付与した役職者の退職等、あらゆるリスクに対処するために、専門家に相談することをお勧めします。

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