見せ金とは。会社設立時に知っておくべきことを解説

2018年 08月30日

会社設立時にお客様がよく分かっていないことが多い見せ金について解説します。

見せ金とは

見せ金とは、資本金に当たる資金を誰かから借入れをして会社設立後に直ちに同額を返済するという方法で、資本金に相当する資金があることに見せかけるお金のことをいいます。実際には、見せ金は、会社にお金が存在しない状態なので、債権者を欺く行為で、違法行為となるので、やってはならない行為です。

例えば、日本政策金融公庫等の金融機関での創業融資は、この資本金の額を自己資金とみなして融資額を決定していきます。よって、「見せ金」で希望融資額を申請をすれば、詐欺行為にあたります。

また、「見せ金」は債権者の利益を害し、決算書の内容も悪くする結果になります。なぜなら、見せ金で、いったんは資本金が計上されますが、それと同額の資金返済時に「出資者への貸付金」として資産の部に計上されるからです。決算書に「出資者への貸付金」という勘定科目が計上されると、金融機関からの評価が下がり、融資にも影響が出ます。
「見せ金」で会社を設立した代償は高くつくので、資本金はあくまでも出資者の「自己資金」で払込みをするように注意が必要です。

・税務上の扱い

見せ金は、会社が社長にお金を貸しているという扱いなので、返済されない状態でいると、会社から社長に貸付がされたとみなされる可能性もあります。

・手続き的な問題

本来あるべきお金がないわけで、それをあたかもあるかのように株式会社設立の手続きをした場合の責任については、会社法でも以下のように明文化されています。

(出資の履行を仮装した場合の責任等)
第52条の2
1、発起人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。
一  第三十四条第一項の規定による払込みを仮装した場合 払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払
二  第三十四条第一項の規定による給付を仮装した場合 給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)
2 前項各号に掲げる場合には、発起人がその出資の履行を仮装することに関与した発起人又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。ただし、その者(当該出資の履行を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
3 発起人が第1項各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
4 発起人は、第1項各号に掲げる場合には、当該各号に定める支払若しくは給付又は第2項の規定による支払がされた後でなければ、出資の履行を仮装した設立時発行株式について、設立時株主(第65条第1項に規定する設立時株主をいう。次項において同じ。)及び株主の権利を行使することができない。
5 前項の設立時発行株式又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主及び株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。

会社法にも、資本金をあたかもあるかのようにするのではなく、自己資金で資本金を払い込んで下さいということが書かれています。

まとめ

見せ金で株式会社設立することは結構なリスクがあります。会社設立時は資本金を多くみせたがるので、見せ金をしたくなりますが、見せ金は違法行為です。また、銀行からの借入時にも影響が出るので、絶対にやらないように注意しましょう。

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