設立すると通る道!役員や従業員の給与の決め方とは

2017年 12月15日

会社を経営していると様々な経費がでていきますが、その中で特に慎重に決めなければならないのが役員や従業員などの給与です。
なぜなら、給与は一般的に決まった金額を毎月支払うため会社にとって一番大きな固定費となることが少なくありません。
また、給与だけでなくそれに連動して他の経費も掛かるためです。
ここでは、そんな役員や従業員の給与をどうやって決めればいいのかを解説します。

役員報酬と従業員給与

まずは、役員や従業員が受け取る給与の特徴を見ていきましょう。

1、役員

まず役員と会社の契約は雇用ではなく委任契約の関係になります。一般的に労働基準法における労働者に該当しません。
最低賃金が適用されないので役員報酬0円ということもあり得ます。次に、給与額がいくらにするかは、事業年度開始の日から3カ月以内に株主総会で決定します。決定後は、新しい事業年度まで、原則として変更できません。
なぜなら、法人税の規定により役員報酬は一定でなければならず、理由なく変更すると一部が税務上の経費として認められないからです。なお、役員に対する賞与も毎月定額でない役員報酬なので原則、税務上の費用となりません。
また、役員の場合、健康保険と厚生年金保険には加入しますが、労働者ではないため、雇用保険には原則加入できません。

2、従業員

所謂正社員やパート、アルバイトの区分に関係なく、労働の提供に対して賃金が支払われている人は労働者となります。
また、労働時間や労働日数などの条件を満たす場合には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険に加入する義務が生じます。

給与額を決めるポイント

1、役員

経営戦略で決める
会社と役員どちらに資金を残すのか考慮します。特に設立間もない時期は、役員の給与を出来るだけ抑えて会社におカネを残すことがあります。また、融資を検討している場合、役員の給与を取りすぎると決算書上の会社の業績が落ちてしまうので融資に不利になる可能性もあります。

税金の負担額で決める
法人税と所得税では税金を計算する仕組みが異なります。そのため、同じ金額でも会社の利益にするのか、役員報酬にするのかで大きく税額が変わります。例えば500万円を会社の利益にするのと役員報酬にするだけでもトータルの税金負担は異なります。

2、従業員給与

残業代について
従業員に残業してもらうなら当然、労働基準法で定められた時間外の手当をつける必要があります。
毎日の残業時間を1か月合計すると、思った以上の残業代の支払いになります。残業代も給与額を決める際には考慮しましょう。

3、役員と従業員に共通する点
社会保険料について
役員、従業員ともに条件を満たせば健康保険、厚生年金保険に加入しなければなりません。
役員、従業員側からすると、社会保険料分の手取りが減ります。
会社側からすると役員、従業員と同額の保険料を負担しますので、会社負担分を考えずに給与額を決めてしまうと、思わぬ負担増になります。

まとめ

役員報酬と従業員給与では金額を決める際に考慮すべきことが異なります。
考慮点をしっかりと頭に入れて金額を決め、後で困ることのないようにしましょう。

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