安易に法人成りするのは危険、法人成りするデメリットとは

2017年 12月17日

事業を個人で行っている人が会社を設立して法人成りすると、対外的な信用度が増すなどメリットがあります。
しかし、会社を設立していくことは必ずしも良い点ばかりではありません。
むしろ、個人事業のときにはなかった不利益が生じることがあります。
そこで今回は、法人成りした場合のデメリットを確認していきます。

会社設立費用の負担

会社として事業を行うには会社を設立しなければいけませんが、費用がかかります。
株式会社の場合、登録免許税や定款の認証手続きで20万円近くかかります。
専門家に手続きを依頼するとさらに手数料が10万円ほどの負担がかかります。

会計および税務処理の手間

個人事業でも法人でも、事業を行うときに忘れてはならないのが、日々の取引の記帳事務と確定申告です。
最近は会計ソフトやクラウド会計ソフトの普及によって記帳事務は税理士などに頼まなくてもご自身で行うことも可能になってきました。
また、個人事業の確定申告もご自身で行っていた方も多くいると思います。
しかし、法人の確定申告(決算申告)は、処理がとても複雑なのでご自身で勉強して申告することは難しく、税理士に依頼せざるを得ないでしょう。
ですので、法人成りすると少なくとも税務申告の代行費用はかかると考えてください。

交際費の額に限度があります

法人税は所得税と比較して、税率が低くなるというメリットもありますが、処理上、デメリットも生じます。
具体的には、交際費の扱いがあります。個人事業者の場合は、交際費に制限はないですが、会社の場合、交際費損金算入に限度額があります。
中小企業で年間800万が損金算入限度額であり、この金額を超えると超えた分が損金不算入となり、法人税が課せられます。

意外と忘れがちな社会保険料の負担

個人事業と法人で税金はどちらが得なのか判断しがちですが、社会保険料の負担も忘れてはいけません。
個人事業の場合、一定の事業を行い常時5人以上の従業員が働いていない限り、健康保険及び厚生年金に加入する必要はありません。
しかし、法人の場合は、社長1人だけであっても健康保険及び厚生年金に加入しなければなりません。
なお、健康保険料と厚生年金保険料は従業員(社長などの役員も含みます)と会社が1/2ずつ負担をします。
従業員と会社の負担を合わせると給料の概ね28%~30%ほどになり、大きな負担となります。

赤字でも税金の負担が生じる

個人事業の場合、事業の所得が赤字であれば所得税や住民税、事業税は課されません。
しかし法人の場合、どんなに赤字であっても最低7万円の法人住民税が課されるため、必ず税金の負担が生じます。

まとめ

個人事業のままよりも法人成りしたほうが有利になること場合は確かにあります。
しかし、会社を設立して、法人化すると様々な費用と事務続きが必要となります。
また法人成りすることで社会保険料の負担も生じます。よって、「会社のほうがなんとなく良さそう」と安易に考えずに、事業の展望も考慮して法人成りすることが本当に良いのか検討されるべきでしょう。

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