株式会社と合同会社の違いとは?

2017年 12月16日

以前は会社形態といえば株式会社と有限会社が主流でした。
しかし、新会社法の施行により、新たに有限会社制度は廃止され新たに作ることができなくなりました。
廃止の代わりに導入され、現在主流の形態となっているのが合同会社です。
最近では、スーパーや食品会社でも合同会社の名前を見かけることも多くなりました。
ところで、株式会社と合同会社では何が違うのでしょうか。今回は、株式会社と合同会社の違いを解説していきます。

出資者と経営者の関係

株式会社と合同会社の大きな違いの1つとして、出資者と経営者の関係が挙げられます。
株式会社とは、出資者が株式を取得し株主となることで設立される法人です。
一方、合同会社は社員が出資金の払い込みをします。
株式会社は出資者と経営者が異なり、合同会社は出資者と経営者が同じという点がポイントです。
ほかにも、重要事項の決定や、経営上の意思決定の方法において株式会社と合同会社では手続きが異なります。ちなみに株式会社も合同会社も出資者は有限責任です。会社が倒産して、借入金などの負債が残っても自分が出資した以上の額の責任をとる必要はありません。

 

  株式会社 合同会社
出資者と経営者 異なる 同じ
重要事項の決定 株主総会の決議

(出資者=株主)

社員全員の同意による

(通常は社員総会)

経営上の意思決定 取締役会の決議

(経営者=取締役)

(業務遂行)社員の過半数の同意が必要

 

役員

次に株式会社と合同会社で、役員や役員の任期に違いを見てみましょう。

①役員
株式会社は取締役1人から、合同会社も社員1人から設立できます。
なお、合同会社における「社員」とは法律用語であり、株式会社における株主に近い存在です。
この「社員」は、業務執行権も有しているため、株式会社における取締役(役員)の地位も有しています。
ですので、一般的に会社の従業員を指す「社員」とは意味が違います。
また、株式会社の代表者を「代表取締役」、合同会社の代表者を「代表社員」といいます。

② 役員の任期
合同会社の場合、社員の任期ありません。
一方で株式会社の場合、取締役の任期は原則として2年、監査役は原則として4年です。なお、株式譲渡制限会社では、定款の定めでそれぞれ10年まで伸ばすことができます。

設立手続

株式会社と合同会社では、設立の手続きが異なります。
株式会社は、会社の重要な決まり事である定款を作成し、公証役場で認証を受けます。
定款の認証が終わったら、次に法務局で設立登記を行います。
合同会社の場合は、公証人役場での定款認証がありません。
定款を作成したら認証を受けずにそのまま法務局で設立登記が行えます。

対外的な信用度

現在では、合同会社が浸透したため、金融機関などの信用度は株式会社、合同会社で大きな違いはありません。
しかし、まだ世間一般には合同会社の認知度は低いため、取引先等からの信用度は株式会社と比べると低くなることはあります。
また、株式会社と合同会社では設立しやすくなったため、なぜあえて合同会社にしたのか問われる場面があるかもしれません。

その他

株式会社も合同会社も会社形態の違いはありますが、2つとも税法上、普通法人という大きなくくりの中に入ります。
そのため税率や税制に違いはありません。
これは社会保険制度でも同じです。
また、株式会社には決算公告の義務がありますが、合同会社はありません。
ちなみに設立費用については、資本金の金額にもよりますが、合同会社のほうが10万円程度安くなります。

まとめ

以上、代表的な株式会社と合同会社の違いを確認しました。
両者の最も大きな違いは、出資者と経営者の関係です。
株式会社は出資者と経営者は異なりますが、合同会社は同じです。また、対外的な信用度も重要です。
株式会社と合同会社、どちらを設立しようか迷っているなら、違いをしっかり理解し、自分に合った会社の形態を選びましょう。

新橋税理士法人の会社設立ページへ 記事一覧へ