個人事業主から法人成りするメリットを解説

2017年 12月08日

事業を行う上で、個人事業よりも法人のほうが有利な面があります。
個人が法人成りする場合のメリットについて節税という観点から検討します。

社長の給与が経費になる

一般的に法人には法人税、個人事業主には所得税が課税されます。イメージとして法人税も所得税も、税額は以下のように計算されます。
売上-費用=利益
利益×税率=税額

ここでポイントになるのが費用の取り扱いです。法人の場合、社長の給与を費用として扱うことができます。(個人事業の場合、自分で自分に給与を出すという考えはしません。)
例えば、売上が3,000万で、費用が2,000万の場合、利益は1,000万となります。個人事業主の場合、青色申告控除というものがあり、一定の約束を守ると、最高で65万の控除を受けることができますので、その分を控除した935万が利益(所得金額)となります。

これを法人化した場合、社長の給与を役員報酬として費用に計上できます。先と同じ例を使うと、売上が3,000万で、費用が2,000万です。仮に社長の給与が1,000万だったすると、費用が3,000万となり、利益は0になります。この場合、社長の給与1,000万にも課税はされます。ただし、その場合の所得金額は、780万円(給与所得控除考慮後)になりますので、個人事業よりも税金の対象となる金額が低くなります。

消費税が免除される

消費税は、原則として基準期間(通常、個人の場合は前々年、法人場合は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下であれば消費税の納税義務はありません。
したがって、法人成りした場合、基準期間がない最長2年間は、納税義務が免除されます(資本金の額によって例外あり)。
消費税は法人税と違い、利益に関わらず納付が必要なため、赤字でも納めなければなりませんので、2年間免除される影響は大きいです。

なお、基準期間による納税義務の判定は、個人と法人を別として考えますので、例えば個人事業主として2年間事業をした後に、法人成りすれば、最長で4年間消費税の免除を受けることも可能です。

欠損金の繰越期間が長くなる

ある事業年度が赤字であった場合に、その赤字の額を翌年以降に繰り越すことができます。
これを欠損金の繰越といいます。
繰越した欠損金は、翌年以降の利益と相殺できますので、結果的に相殺した事業年度(年)の利益が減り、法人税または所得税と、それらに付随する地方税が減少します。この欠損金の繰越は、個人の場合3年間ですが、法人の場合は最長9年間可能となるため、これも法人成りのメリットと言えます。

まとめ

節税という観点だけを考えても、法人成りのメリットは上記以外にも挙げられます。
ですが、メリットだけを考えて安易に法人成りを検討するのは危険です。法人成りすれば、赤字でも最低7万円の法人住民税を納付し続けなければなりません。
また、法人成りするかどうかは、節税の面だけでなく、事業自体にも影響しますので「今後どのように事業を行いたいのか」も念頭に置いて検討すべきでしょう。

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