2023年 02月16日
税理士会には、税務行政・租税・税理士制度につき権限ある官公署に建議し、諮問に答申することができると税理士法に規定されています。税理士の多くは個人及び中小企業との関与関係にあり、個人や中小企業と関わりのある税制に敏感になる立場にあり、税理士会の税制建議も必然的に個人・中小企業にとっての税制上の不都合の改善を目指すという傾向を持っています。
それ故か、税理士会建議の採用は必ずしも多くはなかったところ、令和5年度税制改正では、税理士会の建議項目や答申した意見が多く採り上げられたとの会長コメント、新聞広告が出されています。
①これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上税額の2割に軽減する3年間の負担軽減措置
②前々年、前々事業年度における課税売上高1億円以下の事業者が行う1万円未満の課税仕入れにつき、これまで通り、インボイスの保存がなくとも帳簿のみで仕入税額控除を可能とする(6年間)
③少額な(1万円未満)値引き等の返還インボイスの交付を不要とする
④災害により住宅・家財等に損失が生じた場合の雑損控除の繰越控除期間を3年間から5年間へと延長する
⑤相続時精算課税制度適用後の贈与について、相続財産にも加算しない110万円基礎控除の導入
⑥相続時精算課税で受贈した土地・建物が災害により相続時までに滅失した場合、相続時に再計算する
これらを見ると、今年の税制改正の目玉とされているものの多くが税理士会からの建議に関連するものです。会長コメントの冒頭にあるように、これらは、税理士政治連盟の政治家への働きかけ、及び税理士会が平素より国民や納税者に寄り添い、その声を真摯に受け止め、関係各所に届けた成果のようです。
さらに会長コメントは、免税事業者が取引から排除されることのないよう、今後も引き続き、インボイス発行事業者以外からの課税仕入れ80%控除という経過措置について、時限規定を改めて当分の間維持していくように関係各所に求めていくと、決意表明しています。