いまいち弱火の新制度
セルフメディケーション税制の今

2021年 12月17日

覚えていますか、この制度

 セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、健康の保持増進及び疾病の予防への一定の取組を行っている方が、自分、もしくは生計を一にする親族のために特定の医療品購入費を支払った場合に、医療費控除を受けることができる制度です。
 控除が受けられる金額は、購入費用から12,000円を差し引いた金額で、控除される最高額は88,000円、つまり総額10万円までの購入費で控除が受けられる、「医療費控除のミニ版」といった制度です。

利用者は横ばいになっている

 令和3年6月に国税庁が発表した資料を見てみると、令和2年分申告ではセルフメディケーション税制を利用した人は2.5万人となっていて、申告をした人が2,249万人とのことなので、全体の0.1%程度の利用率となっています。ちなみに通常の医療費控除を利用した方は722万人となっています。併せて過去年度分の数字も出ていますが、3.0万人、2.6万人、2.6万人と見事に横ばいです。
 日本一般用医薬品連合会などが実施した16万人に及ぶ調査によると、全体の72.1%がセルフメディケーション税制を認知はしているものの、「利用したい」とする方は12.1%となっており協会も「現状のままでは利用拡大は見込みにくい」としており、「全OTC医療品に対象拡大」「申告手続き簡素化」「購入費用の下限撤廃」等を提案しています。

令和4年分以後の所得税からは微改正

 令和3年分の所得税で適用は終了予定であったセルフメディケーション税制は、令和3年度税制改正で、適用期限が5年延長されました。さらに「対象となる医薬品をより効果的なものに重点化して、手続きの簡素化を図る」とされています。
 厚生労働省では、セルフメディケーション推進に関する有識者検討会を行っており、採用すべき薬効、廃止すべき薬効等の検討を進めています。
 この制度は本来「医療費の削減を目指した方策」ではあるのですが、利用者の数を見ると、上手くいっているとはいえないのが正直なところではないでしょうか。