2021年 12月16日
国税庁は毎年11月ごろに事務年度についての法人税等の調査事績の概要を公表しています。事務年度とは国税庁の人事異動が7月なので、7月から翌年6月迄をいいます。今年発表された令和2事務年度(令和2年7月から令和3年6月まで)においては、コロナ禍の真っ最中ということもあり、法人税・消費税の実地調査件数は2.5万件となり前年対比32.7%となりました。
令和元事務年度も、すでにコロナの影響が出始めており、コロナ禍でなかった平成30事務年度は9.9万件ということですから、平時の1/4くらいの調査件数だった、ということになります。
今年の発表では、調査1件あたりの追徴税額については前年と比べ249%の780.6万円となりました。調査件数は大幅に減りましたが「コロナ禍で調査は憚られるが、確実に大きく取れるところには行っている」ということは見て取れます。調査1件あたりの追徴税額は平時だった平成30事務年度と比べても大幅に増加しています。
「簡易な接触」と表現される書面や電話による連絡、資料の提出依頼や来署依頼による面接等で、税務署が納税者に対して自発的な申告の見直しなどを要請する手法については、前年対比156.5%と、引き続き件数を増やしています。申告漏れ所得金額や追徴課税の額については実地調査には遠く及びませんが、それでも過去年から確実に金額を増やしているようです。
「すでに調査依頼がいくつかある」という税理士先生もいらっしゃるようで、若干コロナが落ち着いている今、調査件数は増えているように感じられます。
また、実地調査については「なるべく接触時間を短くするため、資料を預かって税務署内で検討します」といった措置が取られることも多くなったようです。