2021年 07月14日
情報処理技術の進展に伴い、民間事業者からいろいろなデジタルマネーが発行されるようになり、決済や送金の場面に用いられています。給与のデジタルマネーが解禁されるとどのような支払い方法が可能となるか、メリットもデメリットも未定部分も多いのですが現況での考察をしてみます。
いわゆる電子マネーと言われるSuicaやPASMO、nanacoといったデジタルマネーは利用者があらかじめチャージをした範囲内で決済に利用できるものです。
今回の給与のデジタルマネー払いで予定されているのは、決済のみならず送金や出金を可能とするものです。銀行以外の登録制で認められた資金移動業者が振替取引を行います。国内送信サービスではウォレットやアカウントにチャージして当該残高の範囲で決済や送金、出金が可能となるものです。カードやスマホを用いたキャッシュレス決済やQRコード決済を可能とする会社もあります。海外送金サービスでは外国人などのニーズにも応えています。
資金移動業者は銀行と違って預金を受け入れることはできませんが振替取引に関する資金を預かることはできます。資金移動業者は預かった資金の全額以上の資金を事業資金とは別に用意、保全し万一の破綻の場合にもこの資金から還付を受け取ります。
さらに保証として銀行や保険会社、保証会社が保証業務を担う仕組みです。
給与のデジタル払いを認めるか否かは労働政策審議会で検討されています。資金決済法等に基づき「利用者の保護及び資金移動業の適正かつ確実な遂行」の観点から、賃金の確実な支払いを担保する要件を満たす一部の業者のみに限定されそうです。
これまで給与は原則月に1回銀行口座の振り込みで受け取っていましたが、第二の財布であるデジタルマネー口座に一定の支払いを受け、ATM引き出しや口座振替をすることなく直接キャッシュレスの決済送金が提供されます。Fintech協会が、就労中で年収のある16歳から60歳の方に調査をしたところ、デジタル給与支払方法が今後広まるであろうと回答した人は66%でした。
今後、制度整備がなされれば給与のデジタルマネーでの支払いが企業で検討されることでしょう。