2021年 01月07日
マンションを購入して、税理士事務所としているケースは珍しくありません。フローリング仕様なら、居宅利用も事務所利用もそのまま障害なく可能です。 ところで、令和2年10月以後取得の居宅利用可能な住宅については、仕入税額控除の適用が原則的に不可となりました。 しかし、税理士事務所が課税事業者だった場合、即座の仕入税額控除は出来ないとしても、3年後の仕入税額控除は出来るはず、と解する人がいるかもしれません。
条文的には、建物購入後の3年間において居宅用以外の「課税賃貸用」に供したときは、建物取得に係る課税仕入税額に「課税賃貸割合」を乗じて計算した消費税額を第3年度の仕入消費税額に加算し、これをその課税期間における仕入消費税額とみなす、と規定しています。
ここでの条文の「課税賃貸割合」とは「課税売上割合」の意ではありません。 定期用排除された仕入税額控除を3年後に取り戻せるのは、「課税賃貸割合」の計算が可能なケースのみなのです。「課税売上割合」が100%でも、「課税賃貸割合」が0%だったら、仕入税額控除の取戻しは出来ないのです。要するに、賃貸利用でのみの救済で、自己利用では救済がないのです。
税理士事務所としての自己事業供用の場合で仕入税額控除が出来る可能性があるのは、3年後ではなく、事務所使用物件の購入の課税期間に於いてです。 そのためには、そもそも居住用賃貸可能建物ではないのだということを、建物構造及び設備の相違により主張立証しなければなりません。この立証は、条文的には、税理士事務所としての使用実績ではダメなのです。「構造・設備」の類の相違での非居住用性の区分明示が要求されているからです。
事業供用を止めたら即、居住用に転用できる状況ではNOなのか、税理士事務所としての「設備」を整えればOKなのか、そういう基準が不明確です。 民泊については、既に、課税取引には該当するが、建物は住宅で、自己営業使用なので、初年度にも3年後にも仕入税額控除は認められない、という情報が税務専門誌で流されています。