2020年 12月24日
高額な資産、たとえば事業用ビル一棟買いをした場合などを想定してみましょう。 税込価格11億円で取得、減価償却計算の耐用年数を50年とします。
<税込経理の場合>
建物 11億円/現金 11億円
未収還付消費税 1億円/雑収入
1億円 減価償却費 2200万円/建物 2200万円
<税抜経理の場合>
建物 10億円/現金 11億円
仮払消費税 1億円/
減価償却費 2000万円/建物 2000万円
税込経理の場合、消費税還付金1億円が収益として処理され、法人税・所得税計算上、課税所得となります。逆に、減価償却費が増えて、当初の課税を後の耐用年数期間で取り戻していきます。長期的には損得ないことになりますが、金利的・資金計画的には税込経理が不利です。 高級絵画を購入した場合を想定すると、絵画は減価償却できませんから、売却するまで消費税部分は費用にならず、売却がないとすると、永久に取り戻せません。
消費税の経理処理としては、税込経理と税抜経理どちらの方式を選択してもよいことになっています。 そして、どちらの方法を選んでも年間の消費税負担は同じです。 減価償却資産の取得がなければ、会計上の利益も、税込経理の場合、期末で確定する消費税の額を未払金として計上すると、税抜経理の時と基本的に同じになります。 ただし、税込経理、税抜経理の変更をすると、会計データの期間比較性を損なうことになります。 なお、税込経理、税抜経理には、次のようなメリット・デメリットがあります。
● 交際費の額が大きくなり不利。
● 償却資産税の課税標準が大きくなり、税額も増加するので不利。
● 少額減価償却資産等の30万円(または20or10万円)未満の判定では不利。
● 特別償却や税額控除の判定では×××万円以上という要件が多いので有利。 ● 売上金額を大きく見せるのに有利。
● 経理処理方法が簡便なので有利。
● 控除対象外消費税が生じないので、その知識が不要につき有利。