2020年 12月15日
会社を解散し清算期間となれば営業活動等はできません。解散会社ができるのは、債権(売掛金など)の取り立て、債務(買掛金・未払金など)の弁済等に限られます。
営業活動がなければ、通常の売上にかかる消費税の課税売上は発生しません。「課税売上がなく」かつ「納付税額がない」場合、申告書の提出義務は生じません。また、清算期間中の諸経費は、課税・非課税共通経費となり、課税売上割合がゼロとなれば、仕入税額控除できる金額もゼロとなり、還付金額も発生しません。
申告不要ということでしょうか?
営業活動が禁止されていても、残っている資産をお金に換えるために財産の換価処分が行われることがあります。たとえば、残ったパソコンを売却して現金に換えた等の場合であり、課税売上となります。
清算期間中の非課税売上は、土地の売却があれば別ですが、せいぜい銀行預金の解約時の利息程度でしょう。そうなると、課税売上割合が高くなって仕入税額控除にできる清算の諸経費の割合も高くなります。
課税売上にかかる消費税と仕入控除できる消費税額とを比較し、前者が大きければ申告・納税義務となります。後者が大きければ、還付申告できることとなります。
資産売却以外でも課税売上が発生することがあります。税法規定が原因で、課税売上が発生する場合です。
たとえば、
①仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の控除の特例
②課税業務用調整対象固定資産を非課税業務用に転用した場合の消費税額の調整
③課税業務用調整対象固定資産を非課税業務用に転用したことで調整
④貸倒れ控除を受けた貸倒れについてその貸倒れ債権の全部又は一部を回収した場合
⑤直近の解散事業年度に未確定だった売上が清算事業年度に確定して実際に譲渡した課税期間の見積計上額を上回る差額に対応する税額が発生する場合
などです。
こうなるともう税法の細かな規定の話です。ようやく清算手続き業務が終わったとほっとしたタイミングで税務署から問い合わせが来て困らないように、清算手続きはやはり専門家(会社法は弁護士・司法書士、税金は税理士)に任せるべきと言えます。