2020年 11月26日
これまでは、複数の会社で働いている労働者は働いているすべての会社の保険給付は受けられないことや、すべての会社の業務上の負荷や労働時間、ストレス等を合わせて評価し労災認定されるようになっていないことがネックでした。このため多様な働き方を選択する方やパート労働者などで複数の会社で就業している方が増えている等、副業・兼業をとりまく環境を整備する観点から、労働者災害補償保険法が令和2年9月から改正されました。
今回の改正の対象となるのは「複数事業労働者」です。これは業務で被災した時点で事業主が同一でない複数の事業場と労働契約関係にある方です。
労災保険のうち休業や、障害、遺族などで受け取れる給付額は原則として給付基礎日額で決められます。給付基礎日額は原因となる事故の発生直前の3か月の賃金(賞与等は除く)の総額を総日数で割った金額です。今までは労災の原因の事故が発生した勤務先の賃金だけで給付基礎日額を決めていましたが、改正後はすべての事業所で受け取っている賃金を基に決めることになります。事故と直接関係のない方の勤務先でも手続が生じます。
他には脳や心臓の病気、精神障害などの原因である労働時間やストレス等の負荷を総合的に評価することになりました。
例えば2社で働いていて疾病になった場合、以前なら1つの会社だけでは個別の負荷に問題はなくて労災には認められなかった場合でも、改正後は合計の労働時間の負荷で判断するので労災認定される場合があります。
労災保険は正社員、パート・アルバイト等名称に関係なく雇用されている人が対象です。建設業や個人タクシーの1人親方、労働者数が一定以下の中小企業事業主は特別加入制度に加入することができます。フリーランス等業務委託契約で働く人は労災適用されないことになります
副業をする時は勤めている会社が副業してもよいのか就業規則等を確認しておくのが良いでしょう。