2020年 10月22日
コロナ禍の収束が見えない中、雇用調整助成金の活用などで何とか凌いできた企業でも、後は人員削減しか手はないといった段階に進んでしまうところも少なくないものと危惧されます。新聞紙上でも、「○○社(=名の知れた大企業)で希望退職○○人募集へ」などといった記事が目につきます。
新型コロナウイルスの感染拡大による経営危機を理由に解雇やリストラが行われる場合も、通常の解雇と同様に、解雇(=それが正当な理由であることを前提とします)に際しては、使用者は30日前までに解雇日を予告するか、30日分以上の平均賃金を支払わなければならないとされています。
退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与は「退職手当等」とされ、退職所得として課税されます。
退職手当等が発生する場合には、毎月の給与の所得税の源泉所得税とは別に、退職所得の源泉徴収税額の計算をしなければなりません。使用者は、従業員から「退職所得の受給に関する申告書」を提出してもらい、それに従って計算をします。
源泉徴収された退職所得にかかる所得税及び復興特別所得税も、原則として、翌月の10日までに納めなければなりません。退職手当等の支払をする者は、退職所得の源泉徴収票(同合計表)を退職の日以後1月以内(翌年1月31日でも可)に納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
主に下記のような手続きが発生します。
(1)雇用主の手続き
①社会保険・・・「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を退職日の翌日から5 日以内に年金事務所(健康保険組合・厚生年金基金) に提出。本人に年金手帳を返還。 本人から家族分を含め健康保険証を回収。
②雇用保険・・・「雇用保険被保険者資格喪失届」を退職日の翌日から10日以内に公共職業安定所に提出。本人の希望により「離職票(被保険者離職証明書)」を添付。
③住民税・・・特別徴収に関し、必要な確認・徴収を行い、退職者の住民税の区市町村に「給与所得者異動届出書」を提出。
(2)退職者の手続き 健康保険証を返還し、年金手帳の返還を受ける。給与・退職所得の源泉徴収票を受領。希望する場合は「離職票」作成を依頼。