2020年 10月12日
「監査」には、金融商品取引法に基づく有価証券に対する監査(上場会社)とは別に、会社法に基づく会計監査人の監査(大会社)があります。ご存じでない方も多いので、少し説明したいと思います。
大会社とは資本金が5億円以上又は負債総額が200億円以上の会社です。代表取締役は株主から会社経営についての大きな権限を委託されており、大会社ともなると会社の規模が大きいため、代表取締役の行動は特に大きな影響を与えます。 株主の代理として代表取締役や執行権限を持つ取締役を監督する役割は、取締役会や監査役会が担っております。
更に会計業務については会計監査人を置かなければなりません。また、近年ではこれらに加えて社外取締役や社外監査役の制度も制定されました。
監査役の監査は、代表取締役や取締役がその職務を全うしているか等の業務全般を見る業務監査と、会計業務について適法に処理されているか、間違いや不正がないかを調査する会計監査に分けられます。 しかし、大会社の会計業務は海外取引や関連会社との取引等量も質も複雑で膨大になるため、会計の専門家に依頼しないと監査役では手に負えません。そこで会計監査人による監査が必要になります。
会計監査人は公認会計士かその集まりである監査法人が選任されます。当然1人で行うのではなく、規模にもよりますが、数人から数十人の規模になる場合もあります。 会計監査人には計算書類とその附属明細書の調査を行い、取締役に報告を求め、帳簿を閲覧する等の権限が与えられています。 最終的には会計監査人は監査役に会計監査報告書を提出し、計算書類と附属明細書の適法性について意見を表明します。
後で事実と異なる意見を表明したとなった場合には、会計監査人が会社や第三者に対して、賠償責任を負うこともあります。 そのため、会計監査人は、会社から報酬を貰ってはいますが会社に不利な意見を表明する場合もあります。