浸水被害への備え-中小企業の防災対策と税制・助成金-

2020年 09月01日

浸水リスクを認識し、被害を想定する

 最近の豪雨災害による被災状況は目を覆うばかりです。令和2年7月豪雨は、特定非常災害の指定が閣議決定されました。
 事業継続のため河川の氾濫などによる浸水被害リスクを認識し、これまでの常識にとらわれることなく備えることが求められています。自治体のHPでは、地域ごとにハザードマップを公開しており、洪水や高潮による自社の浸水リスクを視覚的に把握し、被害を想定することができます。過去の被災記録、被災土地の形状も有用な情報です。

事前に講じるリスク対策

 浸水が発生する前の現実的な対策として、次のものが検討できます。
  ①保険の付保(水災保証)
  ②電源装置、サーバーの階上への移設
  ③データのクラウド保存
  ④防災・復旧のための設備投資(発電設備、止水板、排水ポンプなど)など

防災のための税制・助成金を活用する

 自然災害に備える中小企業者を支援する公的な措置には、次のものがあります。

 ①中小企業防災・減災投資促進税制(中小企業庁)
 中小企業経営強化法に基づく「事業継続力強化計画」の認定を受けて防災・減災設備を取得した中小企業者には、事業供用年度にて取得価額の20%の特別償却ができる措置が設けられています。
 機械・装置(100万円以上)、器具・備品(30万円以上)、建物附属設備(60万円以上)。自家発電設備や排水ポンプ、止水板、防水シャッターなどの取得が対象です。

 ②BCP実践促進助成金(東京都中小企業振興公社)
 東京都が、自然災害や感染症による不測の事態に備えてBCP(事業継続計画)を実践する都内に本社を置く中小企業者に対し助成金を交付する制度です。 BCPの実践に必要な設備・物品の購入・設置費用として上限1,500万円の助成金が交付されます。

BCPの実効性を高めるために

 災害発生直前まで、気象庁の発表するリアルタイム情報やタイムラインを活用して被害を最小にとどめる措置を講じます。災害発生前の備えにより、社員の安全確保、設備・データの保全につなげましょう。