インボイス業者扱いの
消費者・農林漁民

2022年 12月21日

要件としてのインボイスと例外一

 適格請求書(インボイス)等保存方式の下では、インボイスの存在は仕入税額控除の要件です。ただし、その発行の要求が困難なものとしての次のものには、インボイス発行は要求されません。
①3万円未満の公共交通機関旅客運送
②使用の際に回収される入場券等
③3万円未満の自販機による商品販売等
④郵便切手類を対価とする郵便サービス
⑤従業員に支給する通勤費、出張旅費等

インボイス例外二

 また、委託販売での取引とも言える次のものにも、インボイス発行は要求されません。
⑥卸売市場において行われる生鮮食料品等の販売
⑦農協・漁協・森林組合等に委託して行う農林水産物の販売

インボイス例外三

 さらに、一般消費者が売り手となる次のものにもインボイス発行は要求されません。
⑧宅地建物取引業者への建物の売却
⑨古物営業を営む者への古物の売却
⑩再生資源及び再生部品の売却
⑪質屋を営む者の質物の取得

免税事業者からの仕入でのインボイス不要

 上記の内、③⑥⑦は事業者からの仕入ですが、その中には免税事業者が含まれています。特に、⑥⑦は農業者、漁業者、林業者からの仕入であり、それらの小規模事業者との取引者を保護する政策的配慮です。

消費者からの仕入とみなすインボイス取引

 それに対して、⑧⑨⑩⑪は、取引の相手が一般消費者である場合を通常事例と想定しての規定であり、一般消費者をインボイス事業者とみなすような扱いになっている、事業者配慮の政策的規定です。インボイスを発行できない事業者や消費者からの仕入税額控除制限規定をこれらでは機能させていません。
 なお、⑧⑨⑩⑪の取引は、棚卸資産を取得する取引についてだけ適用なので、不動産や中古資産や再生資源を自己使用目的で購入する場合にはインボイスなしでの仕入税額控除特例の対象にはなりません。それならばと、⑨の不動産取引については、仲介業者に棚卸資産として購入してもらってから転売してもらう、取引の類型転換が増えるかもしれません。