損金経理しないでの損金算入

2022年 11月09日

損金経理とは

 法人の各事業年度の収益の額、売上原価、販管費、利益・損失は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるもの、とされています。
 損金については、この会計処理がなされている事を特に「損金経理」と名義して、損金算入の要件としている税法規定もあります。

損金経理が要求される税務項目

 「法人がその確定した決算において費用又は損失として経理すること」、これが損金経理の定義です。
 損金経理が要件というのも、別段の定めであり、次の項目等で要求されています。
① 減価償却資産・繰延資産の償却
② 引当金・準備金の繰入・積立
③ 圧縮記帳
④ 使用人確定・未払賞与、業績連動給与

損金経理が要件ではない税務項目

 現金預金の動きや届いた請求書・領収書に合わせて行われる会計処理の中で、税法の求める損金経理はその一部に過ぎません。
 決算確定時で未だ内容の不明な仮払金が、申告時点で旅費交通費と判明したというような場合は、損金経理要件対象ではないので、申告書別表四にて旅費交通費認定損の減算処理・申告調整することになります。
 決算整理として、処理すべきであった、外貨預金等の期末残高に係る為替差損の計上、長期前払保険料等の費用化処理、航空機オペレーティングリースなどの損失処理、等々も、処理漏れであった場合には、損金経理要件対象ではないので、申告書別表四にて認定損の減算処理・申告調整することになります。

税務の許容する巧い処理

 ところで、航空機オペレーティングリースなどは、会社の本来業務ではなく、経常損益の分析の埒外で特別損益項目なので、「損金経理」から外し、申告書別表四ほかにて投資損失認定損や投資損失限度超過額損金不算入の加算減算処理をしていても、税務上は許容範囲かもしれません。
 でも、投資額が大きく、契約期間の前半は投資額を超える累積損失となることが多く、これを「損金経理」で確定決算に取り込むと、赤字決算になってしまうので、敢えて会計処理外しの選択をしているのだとすると、会社法的には、赤字を黒字に変え、債務を簿外化する粉飾決算になります。