2022年 09月29日
円安が進んでいます。令和4年9月7日の東京外国為替市場では、1ドル144円台まで値下がりし、1998年以来の円安水準となりました。世界の中央銀行が相次いで金融引き締め策を打ち出す中、現在でも金融緩和を続ける日本が際立つ形となり、円売りの材料となっています。海外の動静や政府・日銀の判断に注目が集まっています。
外貨建取引の売上・仕入は取引時の為替相場で円換算されるため、為替レートの変動は、企業の損益計算書に直接のインパクトを与えます。円安の場合には、国内で生産し、海外に販売する「売上=外需・仕入=内製」のタイプの会社に有利に働くことになります。売上・仕入のどちらにも外貨建取引がある場合には、売上の円安効果と仕入の円安効果の現われ方により、会社の利益への影響は複雑となります。
また、法人税法では、期末に有する外貨建資産・負債の円換算は、「発生時レート(HR)」又は「期末時レート(CR)」で行いますが、長期保有の資産の法定換算法は、発生時レート(HR)のものが多くなります(期末の換算損益は生じません)。
区分(長期) | 選択可能 | 法定 |
外貨預金 | HR・CR | HR |
外貨建債権債務 | HR・CR | HR |
外貨建有価証券 |
CR |
CR |
ただし、発生時レートが適用される外貨建資産・負債であっても、期末に為替レートが著しく変動した場合(おおむね15%以上)には、その通貨の種類を同じくする外貨建資産等のすべてについて、期末に外貨建取引を行ったものとみなして、期末時の為替レートで帳簿価額の付け替えを行うことができます(結果的にCR換算と同じ)。
今年のような状況の場合、この「15%ルール」を検討する会社も多いと思いますが、同一通貨の場合、「ドル資産だけCR」「ドル負債だけCR」という「つまみ食い」はできません。その点ご注意ください。