2022年 08月24日
個人で事業を始めた場合、税務署に、開業後1か月以内に開業年月日を記載した「個人事業の開業届出書」を提出する必要があります。
しかし、開業日から事業活動がスタートするというわけではありません。開業するまでには、その準備段階から開業に向けて様々な支出が発生することになります。
開業までの広告宣伝費、旅費、接待交際費、給料賃金、土地、建物などの賃貸料、開業準備のために特に借り入れた借入金の利子などの支出があります。
開業費は繰延資産に該当しますので、償却費として計算された額が必要経費になります。その計算方法は60か月の均等償却のほか、任意償却による方法が認められています。その場合、開業の年分に全額償却しても、全く償却しなくてもよいのです。60か月を経過した場合に償却費を必要経費にできないとする規定はありませんから、開業費の未償却残高はいつでも償却費として必要経費にすることができます。
任意償却を採用した場合は、経費として計上する時期に注意が必要です。例えば、開業後利益が上がらず赤字になったり、利益があったとしても所得控除によって所得税が発生しない場合などに、開業費の償却費を計上してもその効果は期待できません。相応の利益が発生したときに経費計上することによってこそ、その節税効果があるといえます。
それでは、どこまでの支出が開業費として捉えられるかですが、本人が「これは開業費になる」と主観的に判断されたとしても、客観的に証明できる取引の記録やその基となる資料(領収書や請求書など)の保存が必ず必要となります。ある支出が開業費に該当するかは、客観的に見てその支出が業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行に必要なものに限られるのです。これは、開業後の必要経費についても同様です。
開業費を含む必要経費の考え方については、自己解釈せずきちんと会計事務所に相談して、後々トラブルにならないようにしてください。