2022年 05月20日
A社は社長の代替わりを機に、店内の内装を一新し、在庫の品ぞろえも増やしました。その結果、順調に売上件数や売上高も増え、新社長のBさんは、そこそこ儲かった感触で決算期末を終えました。会計事務所に税金を計算してもらうと、予想通りに利益が出ていたようで、納税額も結構な金額が算出されました。
ところが税金を払う段になってみると、儲かったはずのお金は残っておらず、むしろ納税のために借入が必要な状況で、B社長は愕然としてしまいました。
なぜこんな事態となったのでしょうか?
税金計算のもととなる会社の会計上の利益は、売上などの収益から、売上原価や人件費その他の販売費および一般管理費などの経費を差し引いて計算されます。経費にできる売上原価は、当期の売上に対応するもののみであり、まだ売れていない在庫の購入費は当期の経費とはなりません。また、業務のために用いられる店舗の内装費や車両などの資産は、時の経過によりその価値が減るものとして経費の計上時期が複数年にわたりますので、代価として支払った金額のすべてが当期の費用となるわけではありません。
会社の利益は会計上のルールで計算されたものであるのに対して、お金の出(=在庫となっている品の仕入代金の支払、設備投資の支払など)が先行して、将来の経費に繰り延べされているものがあるため、A社は会計上の利益に比べ、儲けとして残っているはずのお金が足りなくなっていたのです。
会計上の当期純利益とお金の流れの違いを説明してくれる書類があります。間接法によるキャッシュフロー計算書と言われるものです。損益計算書の値を減価償却費や在庫の増減等で調整することで、営業キャッシュフローを導き出すことができ、なぜお金が足りなくなっているのかの原因を分析することができます。
例えば、品ぞろえの幅を広げるために在庫を大きく持ってしまったことや内装の設備投資でお金の出が先行し、会計上の利益との乖離が出てしまったことがわかります。逆に会計上の利益よりもお金が多く残っている場合もその原因がわかります。
作成してみることオススメの書類です。