2022年 04月08日
仮想通貨は、平成29年4月1日施行の改正資金決済法で、法令上の非認知の存在から、支払手段としてその性質が新たに認知されることになりました。これを承けて、平成29年度税制改正における政令改正で、消費税課税対象資産であった仮想通貨は、平成29年7月1日から非課税資産とされることになりました。ただし、土地のような非課税資産ではなく、また、有価証券のような5%非課税資産でもなく、貨幣と同じ課税対象外的な非課税資産です。したがって、課税売上割合の計算に影響しない譲渡性資産となりました。
さらに、仮想通貨ではなく暗号資産と呼ぶのが国際的風潮であることに合わせるために、令和元年に資金決済法の改正がなされ、法令上の名称が「仮想通貨」から「暗号資産」に変更されることになりました。これを承けて、税法令での「暗号資産」への名称変更の改正も一斉に行われ、令和2年5月1日から施行されています。
暗号資産の譲渡による所得は、暗号資産が棚卸資産として定義されていることから、雑所得・事業所得に区分されます。保有する暗号資産を売却(日本円に換金)した場合の所得金額は、その暗号資産の譲渡価額とその暗号資産の譲渡原価等との差額となります。譲渡原価は、原則として、総平均法により計算した金額となります。その他の必要経費がある場合には、その必要経費の額を差し引いた金額となります。
保有する暗号資産で商品を購入した場合、保有する暗号資産Aを他の暗号資産Bと交換した場合には、それぞれの受取資産の時価を対価として暗号資産の譲渡がなされたことになります。暗号資産に含み益がある場合、法人では課税の対象になります。
暗号資産は棚卸資産なので、個人が贈与や遺贈により暗号資産を他の個人又は法人に移転させた場合、その贈与や遺贈の時における暗号資産の価額(時価)が暗号資産譲渡対価となります。また、個人が、時価よりも著しく低い価額の対価による譲渡により暗号資産を他の個人又は法人に移転させた場合には、時価のおおむね70%に相当する金額が暗号資産の譲渡金額となります。