2022年 02月17日
昭和の土地バブルの時代には、頻繁に住宅を買い替えることにより、よりリッチな物件に住み替える、という事例が沢山ありました。所有によりアパート賃料分が留保されるだけでなく、所有により含み益が蓄積される、という効果が人の心を動かしました。
現在は、マンションバブルの傾向を示しています。首都圏では2000年以降、近畿圏では2010年以降に建築した中古マンションの譲渡価格が新築時の価格を上回る傾向にある、との民間公表データもあります。譲渡益も、建物の減価償却があるから譲渡益が出るのではなく、その償却額を超える譲渡益が出る、という事です。
令和2年の税制改正で、住宅ローン控除の規定の「翌年又は翌々年中」という文言が「翌年以後3年以内」という文言に改正されました。これは、会計検査院が措置法特典の不適正な重複適用として実態報告をしたことに端を発しています。会計検査院の検査報告によると、新居を購入して住宅ローン控除を受けている人で、旧居に居住しなくなってから3年目に旧居を売却して居住用資産譲渡の3000万円特別控除の特例の適用を受けていた人が平成28年、29年の2年間で37人いたとしています。そして、この37人の重複減税額の合計が5011万円であった、としています。税率で割った一人当たり平均譲渡益は900万円前後です。会計検査院の検査した事例も、最近の不動産バブルを反映しています。
今はマンション住み替えの都度、譲渡益が発生する時代になっています。そして、期間が3年超ならば、3000万円控除の連続適用が可能です。さらに、住宅ローン控除の適用を受けていたとしても、その居住物件の譲渡による譲渡益に対する3000万円控除の適用も可能です。
会計検査院の指摘と紛らわしいところですが、同一物件に係る譲渡益に対する3000万円控除の適用と住宅ローン控除の適用には、特例併用の制限はされていません。会計検査院の指摘したのは、異なる物件での住宅ローン控除と3000万円控除の重複適用の場合の事なので、同一物件での重複適用に対する注文ではなかったのです。