免税会社の適格請求発行事業者登録のタイミング

2021年 10月12日

取引からはじき出されないための登録?

 2021年10月1日から「適格請求書発行事業者の登録申請」が始まっています。2023年10月1日から消費税の仕入税額控除方式が、「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)」となるためです。
 消費税で仕入税額控除を取るためには、適格請求書(インボイス)が必要であり、適格請求書を交付することができるのは、税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」に限られます。適格請求書発行事業者となるためには、消費税の課税事業者となって、発行事業者登録をしなければなりません。
 免税事業者からの仕入税額控除に関して、6年間の経過措置はありますが、経過後は、インボイスを発行できない免税業者からの商品やサービスの購入では仕入税額控除が取れないため、取引の相手先として選ばれなくなる可能性が高いです。仮に選ばれたとしても、消費税額分の値引きを要求される可能性もあります。

登録すべきかどうかは経営面から検討する

 消費税先進国の欧州でもそうですが、インボイスを発行できない事業者から仕入れを続けると自社が負担する消費税額が増えるため、免税業者は敬遠されがちです。よほど優位性がある商品やサービスでない限り、取引の相手先から外されかねません。
 この適格請求書発行事業者となるか否かの選択は、経理の問題よりも、むしろ、ビジネスの経営面から考えるべきものです。
 登録を決めた場合、2023年10月1日のインボイス制度開始と同時にインボイスの発行をするためには、2023年3月31日までに申請しなければなりません。

「登録における経過措置」利用がおススメ

 免税事業者が適格請求書発行事業者となるためには、先に課税事業者登録をしなければなりません。しかしながら、ここにも経過措置があり、2023年10月1日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、「消費税課税事業者選択届出書」の提出は不要です。何月が事業年度末月かにもよりますが、同じ事業年度内で、2023年9月30日までは免税事業者、10月1日から課税事業者となることもできます。また、「簡易課税制度」で、納税額が少なくなるようでしたら、その適用も検討してみるべきです。