2021年 10月07日
試験研究費の税額控除制度は、よく改正が入ります。令和3年についても見直しが行われ、令和3年4月1日から開始する事業年度については、税額控除率(一般型)は次のような計算方法になります。
| A | 控除率の算式 | 
| >9.4% | 
 10.145%+(A-9.4%) ×0.35(上限:14%) | 
| ≦9.4% | 
 10.145%-(9.4%-A) ×0.175(下限:2%) | 
A:増減試験研究費割合
 この算式では増減試験研究費割合が9.4%を超えると、控除率のカーブがグンと跳ね上がります。この9.4%(改正前8%)という数値は、政府の研究開発投資目標から持ってきた政策目標の数字です。
政府は、令和3年から5年間で研究開発投資の官民合わせた累計額120兆円の確保を目指しています。民間企業は約90兆円が目標。単年度では14.2兆円(平成30年度)ですので、5年間、9.4%増加すれば、約90兆円が確保できることとなります。
試験研究費の税額控除は、研究開発費が大きな大企業の適用額が大きいのが特徴です(平成30年の措置法適用実績 旧総額型 5,751億円・中小企業型357億円)。毎年、日刊工業新聞社が実施している「研究開発(R&D)アンケート」の2021年版ではR&D(計画)の上位3社は次のとおりです。
| 会社名 | 研究開発費 | 売上高比率 | 前期比増減率 | |
| トヨタ自 | 
 1.16兆  | 
 3.9%  | 
 6.4%  | 
|
| ホンダ | 
 0.84兆  | 
 5.5%  | 
 7.7%  | 
|
| ソニーG | 
 0.61兆  | 
 6.3%  | 
 16.1%  | 
解答した163社全体では、前年度実績比8.4%増となり、12年連続の増加です。
また、新薬開発競争が激しい製薬会社のR&D(計画)は、次のとおりとなります。
| 
 研究 開発費  | 
 売上高 比率  | 
 前期比 増減率  | 
|
| 
 武田薬品  | 
 0.52兆  | 
 15.5%  | 
 23.7%  | 
| 
 第一三共  | 
 0.27兆  | 
 26.9%  | 
 17.0%  | 
| 
 アステラス  | 
 0.24兆  | 
 18.3%  | 
 7.8%  |