2021年 09月16日
総務省から発表された令和2年度(令和2年4月~令和3年3月)のふるさと納税の寄附の見込み総額は約6,725億円で、過去最高となりました。
令和元年度は総務省の新ルール「お礼の品は寄附額の3割まで」といったマイナスイメージが台頭したためか、平成30年度から一旦微減していましたが、新型コロナウイルス感染症の巣ごもり需要か、寄附意識の向上か、はたまた新ルール適用後でもお得感があるためか、寄附総額はこの1年で大きく伸びました。
ふるさと納税は簡単に言うと「寄附先に、自分が住んでいる自治体の税金の一部を払う」わけですから、自分の住んでいる自治体に入る税金は確実に減ります。ただし「寄附によって減った住民税額の75%は翌年に地方交付税として補填される」という仕組みになっているので、住民税が減額された額すべてが消え失せてしまうわけではありません。ただ、交付されるのは減収があった翌年ですし、25%は失われるわけですから、たくさんの住民が他の地域に寄附をする自治体にとってつらいのは確かでしょう。
また地方交付税を規定により受け取れない「不交付団体」については、この75%ルールの適用がありません。そのため、東京23区や、その他不交付団体であった川崎市などは、「ふるさと納税のせいで税収が減った」とアピールしていました。
なお、川崎市は令和3年度からは交付団体となったので今年は去年の寄附額の75%は交付されるようです。新型コロナウイルス感染症のためか、地方交付税の不交付団体は去年の76団体から今年は54団体へと減りました。
ふるさとへの支援としてふるさと納税が大きな役割を担う一方、主に都市部に関してはふるさと納税によって減収になるわけで、これを再分配機能と歓迎するか、はたまたバランスの悪いシステムと批判するか。立ち位置が変われば見方も変わるものです。