2021年 08月02日
2020年4月1日に施行された民法の大改正が行われたことをご存じと思いますが、個人保証に極度額の定めが必要となり(改正民法第465条の2)、社員から受領する身元保証書についても極度額の定めが必要となっています。
そもそも、身元保証に関する契約については、「身元保証ニ関スル法律(以下「身元保証法」)」という、わずか6条からなる古めかしい法律があり、その中では極度額について規定されていません。
しかし、改正民法第465条の2第2項で、「個人保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない」と定めており、2020年4月1日以降に取り交わされた身元保証契約が対象となります。
身元保証法第1条では、期限の定めのない身元保証契約の上限を5年としており、身元保証契約は自動更新ができないため、5年を経過すると新たに身元保証契約を取り交わす必要があります。
しかし、5年を経過した身元保証書の取り直しが行われていることは、実務上少ないのではないでしょうか?
身元保証する側にとって、極度額がある方が無制限保証より安心ではありますが、連帯保証の形式をとることが多いため、極度額が設定されていたとしても、連帯保証がネックとなって、保証人が躊躇し、会社が身元保証書を入手できないケースも増えることが予想されます。
その場合、「身元保証書」や「身元保証契約書」ではなく、「誓約書」の形式として、被保証人たる社員が社員としての適格性を有することや、万一の場合には問題解決に向けて会社に全面的に協力することを保証人に誓約いただくなど、柔軟な対応をとることもやむを得ないかもしれません。