2021年 07月29日
法人税等の申告後の関与先への申告書や総勘定元帳の提供に当たり、書類化することをせずにPDF化したものをDVDに保存する形式での提供としている税理士事務所も多いようです。
また、税務調査においては、用意しておく帳簿として総勘定元帳3年分とか5年分とかの依頼を受けてから、印刷を行うということも多いかと思います。
青色申告者は、資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引につき、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)に従い、整然と、かつ、明瞭に記録した帳簿(仕訳帳や総勘定元帳など)を備え保存しておくべきこととされているので、先のような事実は、本来的には帳簿備え付けの法規の規定からは疑問のあるところですが、これらについて調査現場で、杓子定規に批判するようなヤリトリがなされることはなさそうです。むしろ、青色申告要件帳簿の法規が手書き帳簿時代のもので著しく時代遅れになっていることを誰もが了解し合っているからかもしれません。
日本社会のデジタル化の遅れの解消のため、今年の税制改正で、電子帳簿保存法とその施行規則が改正され、帳簿電子化への事前承認という制度の廃止、帳簿電子化採用への抑制的とも言える過度なシステム整備等への要求の大幅な緩和がなされました。
事前承認ではなくなったので、この改正規定の施行される令和4年1月1日以降においては、電子帳簿制度を採用するか否かは、納税者が任意に決めるところとなります。また、事後修正不可などの旧来型のシステム要件を備えたものには優良待遇の制度を設けてはいますが、通常の市販の会計ソフトを利用する場合や、会計事務所に入力を依頼している場合などにも対応しようとしての改正なので、導入をためらうようなハードルはあまりありません。
調査現場に、会計データの入っているノートパソコンとそのシステムのマニュアルを用意すれば印刷した帳簿書類を用意しなくて済みそうです。会計データも、市販ソフトで操作するものではなく、元帳データをPDFにしたものでも、検索可能ならば、要件充足しそうです。