2021年 05月12日
企業におけるメンタルヘルス対策の一つに、管理監督者が行う「ラインによるケア」があります。これは、働く人が自身のこころの不調に対応できないでいる時、管理監督者の「気づき」から始まります。
たとえば、部下の様子を見ていて、「元気がなさそうだな」と気づくことです。以前と比べて遅刻が増えているとか、服装に乱れがあるとか、言動などの変化からわかることもあります。この「いつもと違う」というところに、早く気付くことが大切になります。
しかし、管理監督者には、業務のマネジメントや部下の評価など求められることが非常に多くあります。プレイングマネージャーの場合は、部下のケアまでなかなか時間が取れないということもあるでしょう。リモートワークが推奨されている環境下では、様子を見ることが難しくもあります。
ではどうしたらよいのでしょうか。3月に実施された「令和2年度職場のメンタルヘルスシンポジウム」は、ラインによるケアの実践をテーマに行われました。視聴動画がポータルサイト「こころの耳」で公開されています。(令和2年度「ラインによるケアの実践」|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト (mhlw.go.jp))
専門家による解説では、「ラインによるケア」を効果的に行うには、「管理監督者の経験と知恵」を活かした良いサイクルをつくること、そのための研修の実施方法について、知ることができます。
企業からの実践報告では、管理監督者が実際に行っている事例や、コロナ禍での取組を聞くことができます。たとえば、リモートワークでも部下が相談しやすいように、「あらかじめ対応可能な時間や方法を伝えておく」ことで、コミュニケーションの向上を図っているといった、現場の工夫です。
コロナ禍においては、既存の知識や対策だけでは対応できないこともあります。社員の声に耳を傾け、社員の状況をよく把握すること。現場の工夫を吸い上げ、広く共有していくことが、大切なようです。