2021年 02月22日
昨今、企業の制服導入は減っているようです。本来、髪型や服装等は個人の自由ですが仕事にふさわしい服装があります。
企業は、事業の円滑な運営・企業秩序を維持確保するために、服務規律で服装や制服着用を定めることができます。
例えば、機能性や安全面から必要な場合だけでなく、企業イメージの統一や連帯感の醸成のため、社員に会社指定のオフィスウェアの着用を義務付けることも可能です。
我が国のオフィスにおいて制服が着用され始めたのは、1960年代のことです。戦後すぐは衣服が高価で、汚さないようカバーをするため、自前の布などを用意していました。この頃、官公庁や規模の大きな企業を中心に、福利厚生の一環として男女の制服支給が始まっていたものの、まだ一般的ではありませんでした。
高度経済成長期に入り、働く女性が増えるとともに合成繊維の生産が進んだことで、女性の事務服に変化が現れ始めます。
銀行の女性行員に制服が導入されたのを皮切りに、ジャケットとスカートのスーツがオフィスウェアの定番となり、制服が企業のブランドイメージをも担うようになりました。
そして、1970年の大阪万博で大きな変革期が訪れます。制服を絶好の宣伝ツールと認識した企業は、コンパニオンに、各企業の打ち出したいイメージの制服を着用させました。流行中のミニスカートや丈の短いワンピースなど、ファッション性の高いオフィス服が話題となりました。
著名デザイナーの手がけたおしゃれで華やかなオフィス制服を、大手の航空会社等がこぞって取り入れ、大変な人気となりました。1980年代には女性社員自身が自ら着たい制服を選び決定するようになります。
しかし、1990年代のバブル崩壊にともなって、コスト削減の一環で一気に制服廃止の動きが進みました。
近年では、リーマンショックやクールビズ、直近ではコロナ禍によるテレワークの推進など、今後ますますオフィスウェアの需要は低下しそうです。