2020年 11月19日
法改正に合わせた新通達によると、家屋の賃貸借契約の用途欄が「居住用と事業用」の場合は「用途不明」扱いとし、実態把握を必要とし、その結果、居住供用が明瞭なら、消費税非課税取引になります。 さらに、新通達は、住居利用の有無を主に「賃貸人が把握」しているかどうかに委ねています。賃貸人には日常的に室内利用を観察する権利などありませんので、明らかにこれは行き過ぎの判定規定です。
契約書が住居利用専用以外の場合は、住居以外に利用することが契約違反になるわけではないので、賃貸人には住居利用の有無を知るべき義務も必要性もリスクもないかもしれません。よって、賃貸人が利用実態を把握しているか否かを、判定の要素にするのは、前提を無視したものになっていると言えます。 契約書で「居住用と事業用」としている以上、非住居利用は前提になっていることで、その利用実態を賃貸人が把握していなかったとしても、それが「居住の用に供されていることが明らかな場合」に該当する、と勝手に通達が決められるものなのか、疑問です。
現在のコロナ禍の中での急速なテレワークの普及で、大きなマンションの、ロビーのような共有スペースが、テレワーク作業の場に化して、マンション管理組合に苦情が寄せられたりしています。 また、日税連の会長コメントでテレワークの導入を推進するとし、税理士事務所のメンバーが自宅で業務をしても税理士法に抵触しないとされました。 テレワークが当り前になると、居宅使用と業務使用との境界が普遍的になくなることになり、居宅の賃貸契約でテレワーク禁止とするわけにもいかないだろうから、賃貸契約の使用目的欄が「居住と事業」とするのが普通のことになるかもしれません。
なお、インボイス制度が導入されたら、インボイスを挟んで課税売上と課税仕入が形式的に対置するので、インボイスのある取引か、ない取引かに分別され、事実認定・状況判定などというものは基本的になくなるように思われます。