2020年 11月17日
男性の育児休業については、「本人の申し出」があれば取得させなければならないと法律で定められており、女性と同じ位置づけです。しかし、男性の育児休業取得率は低く、厚生労働省は2020年度の目標を13%としていますが、2019年の取得率は7.48%でした。年々増加しているものの、目標数値とは乖離しており2025年目標の30%は達成の道筋が見えない状況です。
政府が目標数値を設定して促進している理由は、少子化対策、女性活躍や労働者のワークライフバランスの推進などに効果があると考えられるためですが、経済的不安や職場環境によって取得が難しい面もあり、個人へ推奨するだけでは目標の実現は困難であるとも言われています。 こうした中、労働政策審議会の分科会では、男性の育児休暇取得をより推進するため、企業側の取組みの促進が検討されました。一方で、日本・東京商工会議所が実施した調査では、回答した中小企業2,939社のうち、およそ7割が「義務化」について反対(どちらかというと反対が5割弱)という結果です。主に、運輸業、建設業、介護業など人手不足感の強い業種において反対の割合が高く、「男性の育児休業取得義務化」についての議論が起こっています。
労働政策研究・研修機構の企業事例報告によると、男性の育児休業取得推進については企業それぞれの風土・文化を背景に工夫が凝らされ、特に効果のあった取組みとしては、「トップからの発信」「個別の取得勧奨」などが多くあげられていました。 その取組みの結果、取得率の向上だけではなく、「仕事の分担の見直し、仕事の属人化の排除、業務の見える化・標準化」など仕事の進め方の変化や、「助け合う風土やお互い様の意識の醸成」など風土の変化、人材確保に当たってのPR効果など、多様な効果が挙げられています。
いますぐ取り組むのは難しい企業も、長期的な計画として、検討してみてはいかがでしょうか。厚生労働省のサイトでは、育児休業制度の内容や事例紹介、社内研修資料など、検討に必要な情報がご覧になれます。(https://ikumen-project.mhlw.go.jp/)