2020年 10月06日
個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。地域の特産物がお礼の品になることが多く、実りの秋を実感できるようなものが並ぶため、「そろそろふるさと納税しようかな」と考えている方も少なくないと思います。
サラリーマンの方にもメリットがある制度だけに、多くの人がこのふるさと納税を利用しています。ただ「これは税なのか、寄附なのか」「寄附なのにモノを貰えていいのか」という概念的な命題から始まり、地方交付税の不交付自治体からの怨嗟の声や、果ては担当職員の汚職事件まで、さまざまな問題が指摘されています。
ふるさと納税をした人が住んでいる自治体は、税収が減ります。ところが「ふるさと納税した分全部が減る」というわけではなく、減った分の75%は地方交付税で国からの補填が入る仕組みになっています。ただし、元々税収が豊富にあり、国からの地方交付税が不交付の自治体については補填が行われないので「まるまる寄附され損」となります。他方で総務省策定のルール「地場産品のみを扱う」に関しても、豪華な特産品がある自治体と、そうでない自治体の格差があります。自治体間の不公平感は、未だにふるさと納税制度上の大きな問題となって燻っているようです。
代理寄附とは、災害によって被害を受けた自治体に代わり、他の自治体がふるさと納税の手続きを行うことです。災害被災中の自治体は忙しいため、寄附金受領書の発行処理を他の自治体が行う等、極力被災自治体の手を煩わせないようにという配慮です。この取組を行う場合はお礼の品を送ることが圧倒的に少ないのに、寄付金額・件数はとても多く、ふるさと納税によって寄附文化の醸成が行われてきた一つの成果とも言えるのではないでしょうか。
今年は泉佐野市と総務省の法廷闘争(現在もふるさと納税を理由とした交付税額低下で係争中)や、奈半利町職員の返礼品業者からの収賄罪での逮捕、コロナ禍で需要減となった産品への応援等、ふるさと納税をめぐり様々なことが起こった1年でした。