2020年 08月26日
今年6月に公布された年金機能強化法の改正により、令和4(2022)年4月以降、「在職定時改定」が新たに導入されることになりました。
現行では老齢厚生年金の受給開始後も被保険者として就労した場合、資格喪失時(退職時または70歳到達時)以外に老齢厚生年金の額が改定されることはありません。
そのため65歳以降も就労し厚生年金被保険者として保険料を納めていても、退職するか70歳に到達して資格喪失するまでは受給額は増額されない状態でした。
今回導入される「在職定時改定」は、この矛盾を解消すべく、65歳以降の在職中も、毎年1回(10月分から)、直近1年間に納めた年金保険料の納付実績を加味した老齢厚生年金の額に見直すことにより、毎年タイムリーに年金額に反映され、その効果が早く見え増額の実感を得ることができます。
このことは就労意欲の向上にもつながるでしょう。
注意が必要なのは年金月額と総報酬月額の合計が47万円に近い方です。
65歳以降の老齢厚生年金の受給者が、就労を継続し、在職老齢年金を受給していると、年金月額と総報酬(給与+賞与)月額の合計が47万円を超える場合、超過額の半分に相当する老齢厚生年金の支給が停止されます。
「在職定時改定」によって老齢厚生年金の額が増額されることになっても、総報酬月額と改定後の年金月額の合計が47万円を超えれば老齢厚生年金の額は増えますが支給停止にかかることがあり、マイナスにならないとも限らないので注意が必要です。