建物に契約する火災保険が、積立型の火災保険や保険料一時払いの長期保険の場合には、火災が起きた時に保険金を受け取ることができるほか、火災が起きなくても、解約返戻金や満期返戻金を受け取ることができます。建物を相続や贈与で取得した場合、これらの火災保険には、どのような課税がされるでしょうか。
親から建物を相続して、火災保険契約の名義も子供に変更する場合には、解約時に受け取ることのできる解約返戻金相当額で相続税が課されます。
火災保険契約の名義人だけ変更する場合や、建物を子供に贈与して、火災保険契約も子供名義に変更する場合は、解約返戻金相当額で贈与税が課されるものと思われます。解約返戻金や満期返戻金を受け取るまで、贈与税はかからないとする見解もありますが、名義変更により、解約返戻金を受け取る権利を取得しているので、贈与税が課されると考えたほうが無難と思われます
相続や贈与による火災保険の名義変更の後、解約返戻金や満期返戻金を受け取った場合は、一時所得として課税されます。
その理由として、火災保険契約は、「みなし贈与」が適用される、相続税法5条2項の傷害保険に該当しないため、火災保険契約の名義変更による解約返戻金や満期返戻金の受取りは、贈与ではなく、一時所得となるとする見方もあります。
なお、一時所得の計算では、親と子の双方の負担した保険料をあわせ、解約返戻金や満期返戻金の収入金額から差し引く必要経費とすることができます。
JA「建物更生共済(建更)」の商品説明では、「JAの承諾を得て共済契約者を変更する場合は、変更時に「共済契約の権利」を贈与されたものとして、解約返戻金相当額が贈与税の対象となる」、「満期共済金受取時には、共済契約者の変更前後を通じた払込掛金総額を一時所得の必要経費とする」旨が案内されています。
また、火災や自然災害により建物や家財が消失した場合に受け取る保険金は、財産の損害を補てんするものであるため、所得税は非課税となります。