取締役会設置会社とは、メリット、デメリットも解説

2018年 12月03日

法人を設立するにあたって取締役会設置会社を選択されるお客様がいらっしゃいます。
今回は取締役会とはどんな組織で設置するメリット、デメリットについて中小企業に関係する部分について解説します。

取締役会とは

取締役会とは、会社の意思決定をするための組織(機関という)です。

かつては全ての株式会社に必要とされていましたが、2006年5月の会社法で設置が任意となりました。近年設立された会社では、取締役会を設置していない会社の方が多いです。

まず取締役会の構成員である取締役は、年に一度の株主総会で選出され、会社の経営を実行していく人たちで、通常は2年ごとに株主総会で承認を得て再任されます。
取締役会ではこの取締役が最低3人以上必要とされます。

では取締役会とは何をする機関なのか?

取締役会の職務と権限としては以下があります。

「業務執行の決定」
→会社の業務に関する事務の処理の決定をします。
「代表取締役の選定及び解職」
→代表取締役を取締役の中から選んだり、辞めさせたります
「取締役の職務執行の監督」
→取締役がきちんと働いているかを確認します。

取締役会による監督の実効性を確保するため、取締役会は最低3ヶ月に1回の割合で開催し議事録の作成が必要となっています。

一般的には取締役が会社に集まって会議をして色々話し合うことになります。ただ中小企業では取締役会設置会社でも取締役会自体は形骸化し行われていないこともあります。

また下記については(会社法第362条より一部のみ引用)取締役に委任することができません。
そのため下記のような重要な事項については取締役会で決議する必要があります。

1. 重要な財産の処分及び譲受け
2. 多額の借財
3. 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
4. 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
5. 第676条第1号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
6. 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

その他に決議すべき事項としては下記があります。いずれも重要な事項です。

1.譲渡制限株式の譲渡に関する議決(第139条第1項)
2.株式分割に関する議決(第183条第2項)
3.株主総会招集に関する議決(第298条第4項)
4.代表取締役の選定及び解職(第349条第3項及び第362条第2項第3号)

取締役会設置会社のメリット

取締役会では最低3名以上の取締役が必要なため、特定の取締役が自分だけの考えで決めて実行することを防ぐことができます。
株主が頻繁に変動する公開会社で、株主が会社経営の意思・能力を欠く場合、株主に代わって取締役を監督する機関としてその役割を果たす。
取締役会を設置すると、業務執行の決定は取締役会で行うので、株主総会を開催する必要がなくなるため、会社経営の意思決定を迅速に行うことができるようになります。

しかし中小企業では株主=経営者ということも多く、その場合には上記のようなメリットはないと言えます。

また、取締役会が設置されていると、中小企業でも対外的に信用度が高まるため、銀行に対する融資や仕事上の取引において有利になります。

取締役会設置会社のデメリット

取締役会は取締役3人以上が必要になり、監査役または会計参与も1人が必要になるので、役員報酬の負担が増えることになります。
業務執行の意思決定は取締役会で行われ、株主総会の権限が少なくなるので、株主総会の目的として定めた事項以外は決議することが出来なくなります。

まとめ

小規模な会社で株主が実質取締役であれば、取締役会非設置会社の方が利便性は高いといえます。しかし、対外的な信用を高めて、会社を拡大しようとする場合は、取締役会設置会社を検討したほうがよいといえます。
会社設立後に取締役会設置会社に変えることは手間も費用もかかりますので会社設立時に検討する方がいいでしょう。

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