相続空き家を取得したら

2021年 12月28日

特例の趣旨は、空き家をなくすこと

 相続空き家の特例(譲渡所得の3000万円特別控除)は、被相続人の居住用家屋が空き家のまま放置され、近隣の生活環境を悪化させることを防ぐためのインセンティブとして作られた制度です。担税力のある相続人にも3000万円控除のメリットを持たせ、耐震構造にリニューアルして売却させるか、取り壊して売却させることで空き家をなくすことを目的としています。

特例の対象となる居住用家屋及び敷地とは

 相続空き家を売却する場合、特例が適用される家屋と敷地の要件は次の4つです。
① 被相続人が居住の用に供していた
 相続開始の直前に被相続人が居住の用に供していた建物であること。老人ホームに入所中の相続の場合でも自宅を家財置き場としてのみ使用すれば特例は適用されます。
 敷地に居宅のほか、離れや倉庫、車庫など用途上不可分の2以上の建物がある場合は、それぞれの床面積で按分して、被相続人が主として居住の用に供していた一の建物とその敷地部分が特例の対象となります。
 なお、特例が適用されない建物と敷地部分には譲渡所得の計算に際し、相続税の一部を取得費に加算する特例が適用されます。
② 旧耐震基準で建築されている
 特例の対象となる建物は、建築基準法で耐震基準が強化された昭和56年5月31日以前に建築されたものとなります。
③ 区分所有登記されている建物でない
 区分所有登記されている建物は、被相続人の他にも所有権者がいることが意思表示されているので、単独でリフォームや売却できず、特例の対象となりません。
④ 被相続人以外に居住していなかった
 被相続人が、配偶者や子など親族と同居していれば、被相続人が亡くなっても空き家になりません。被相続人が一人で居住していた家屋が対象となります。

空き家の利活用も選択肢

 空き家対策には、空き家を利活用する方法もあります。親から引き継いだ土地には愛着があり、子供の住居として将来の利用を検討する場合、空き家を活用すれば近隣の生活環境を悪化させることもありません。
 自治体には空き家を利活用したい事業者とのマッチングを支援するところもあります。地域コミュニティ、茶道教室、絵画教室など公益的事業に賃貸することも、空き家対策になるかもしれません。